日本で楽しむアウトドアのかたち
ナムチェバザールの店頭で、近頃よく見かけるTシャツがある。スタッフもユニフォームとして愛用中の軽量速乾Tだが、なんとなく和の雰囲気が目を引いている。
浮世絵調の和柄アイテムだが、その絵柄をよく見てみると、江戸っ子っぽい人物たちが最新スタイルをまとってアクティビティに興じているのが分かる。
手前の山道からふと道を見渡す人物の、長旅装束は最新のトレッキング装備。グレゴリーやオスプレーのようなフィット感抜群のザックを背負い、手には長杖ならぬトレッキングポール。ブラックダイヤモンドか、はたまたレキだろうか。街道をその姿で往けば、和風トレイルウォーキングの道すがら、旅の話も花咲くはずだ。
二人の視線の先を走っているのは、飛脚かと思ったらトレイルランナーだ。驚異的な脚力を誇った当時の飛脚は、軽量化のため裸に近いスタイルで往来を駆け抜けていたというが、当時にこんな快適パックがあったらどれだけ荷物の運搬が楽だったことか。
脇の崖ではひとり、ちょんまげクライマーが斜面に挑み、またそのもっと奥手、憩いの岸辺で暖を取る人は、最新のソロ用テントの傍らに佇む。人の往来が管理され、自由な楽しみは制限されていたらしい江戸の世だが、こんな装備があったなら我慢もできず、人は様々にアクティビティへと飛び出して行ったのではないだろうか。
奥手にそびえるは、ナムチェバザールのロゴを象った高い峰と、輝く星。日本ではヒマラヤのような標高は望めないが、平らな国の江戸っ子たちには、山はこのくらい遥かなものに見えていただろう。
原画はナムチェバザールスタッフによる描き下ろしで、日本という地でのアクティビティの楽しみ方を伝える戯画として制作された。はるか昔から自然を楽しみ、たまに許された旅を満喫してきた、わたしたち日本人。かつての彼らが今の道具を目にしたら、どれほど歩いて、どこまで楽しんだだろうか。わたしたちはこれから未来の道具で、どんなふうにこの国の自然を楽しんでいくのだろうか。
そんな夢想と理想を込めた図柄は、和の色をベースとした3色展開。同柄の手ぬぐいも近日リリースされる予定だ。揃えて日本のアウトドアの来し方行く末に、思いを馳せたい。
富獄百景ならぬ、ナムチェアウトドア情景。着る前によく見てみると、面白い発見があるかも。3色展開。