日本のキャンプと寄り添い歩む
スノーピークは、すこし変わったキャンプ用品ブランドだ。
「かわった」という一言には、個性的でユニークで、変化し続けているという意味が含まれ、そしてそのことに、ブランド自身はもちろん、スノーピークを選んで愛しているユーザーも誇りを持っている。
スノーピークは1958年、金物問屋としてその前身をスタートさせた。鉄・金属の街である新潟は燕三条を拠点に、その翌年には創業者・山井幸雄の趣味である登山用金属製品を作り始める。「本当に欲しいものは自分で作る」というきっぱりとしたクラフトマンシップに則り、1987年を機にオートキャンプ用品開発を本格化させてから現在まで、一貫した独自のものづくりにこだわり続けている。
キャンプは、衣食住を大自然の中で満喫できる、とても贅沢な遊びだ。それは決して、代償として不便さを我慢し、みすぼらしく貧しい食事や寝床に甘んじる事ではないと、現社長の山井太は言う。自然の懐に抱かれながら、極上の体験を全身で味わい、忙しい日々が奪う人間性や大切な誰かとの関係性を取り戻す。他の手段では替えられない貴重な価値ある時間が、キャンプなのだと。その時間をより楽しく快適にするために、スノーピークはあるのだ、と。
雨が降る中でも、風が吹く中でも、その音や大気を肌で感じ、楽しみながら家族でぐっすり眠れないか。それを実現するために開発されたのがスノーピークの主力テントであるアメニティドームだし、焚火を囲んでノスタルジックに仲間と語らう豊かな時間のために、大地を犠牲にしないよう作られたのが焚火台だ。
また、見ていてうっとりする家具のようなデザイン性を、地元・燕三条で受け継がれる伝統的な金属加工技術に載せ、所有するだけで誇らしくなる、美しく機能的なアイテムに生まれ変わらせるのも、スノーピークの得意技だ。薄く軽く、火と鉄の力でなんでもおいしくする極薄鋳鉄のダッチオーブンや、フィールドのソファとも言える座り心地で極上のくつろぎを生むローチェアなど、デザインと金属加工技術の融合で生み出された名品は枚挙にいとまがない。
そうやってスノーピークは、製品を変え、遊び方を変え、これくらいの不便や不都合はしょうがないか、と知らずの内に諦めていたわたしたちを変え、キャンプなんて、面倒で疲れるだけだと考える世間の価値基準を変える。自然との大切な時間のために、変えて、変えて、変える。そんな、すこし変わったスノーピークが、わたしたちは大好きだ。
遠い未来になるだろうか、スノーピークが「普通だね」と言われるほどにわたしたちが成熟し、自然と共存できる時間を過ごせる世界が訪れるまで、いや、そうなっても。スノーピークは「少し変わった」ままでいてほしい。