ノースフェイスの冬のアイコン、デナリジャケット。シンプルなフリースジャケットだけど、これを着こなしてこそのアウトドアファッショニスタって感じがある。なんでこの一枚だけが特別なんだろう。
もう、名前からして良いなと思う。「フリース」とかいっさい自分からは名乗らない。あくまで自分はデナリ、他でもない北米最高峰の山のスピリットを宿しています、そのへんのフリースたちとは違うのです、といった誇り高ささえ感じられる。
もともとは30年も前に、しかも極地遠征向けに開発された、アルピニズム溢れる保温ウェアだ。今でこそ街中で愛されてはいるが、そのスペックは冒険者の身体を守るためのもの。
だから本体のフリース素材は、タフでしっかりとあたたかい。現在はリサイクルペットボトルから生み出されるエコなフリースになっているが、その頼もしさはずっと不変だ。
そして、デナリの特徴ともいえる切り替えデザイン。フリースは摩擦に弱く、アルピニストが背負うザックのショルダーハーネス部分にダメージを受けやすいのが難点だった。肩部分のスレ、破けを補い、またよく動かす肘から袖口を守るためのパッチとして、必要があってこの切り替えデザインは生まれたのだ。
背景を知っていると、着こなしも変わる。切り替えパッチ部分はガッシガシに使ってもへこたれないとわかっているし、他よりずっしり感じるほどのボディは極地でも冒険者をあたためてきた厚みだと理解できるから。裾のコードも袖口の引き締まりも、寒風が入り込んでくるのを、あるいは暖かい空気が外に逃げてしまうのを防ぐため。ごつめのジッパーは手袋をしていても操作しやすいように、だろう。そういうふうに、着ればいいんだ。
そういうふうに、そのへんのフリースとはぜんぜん違うデナリを着こなす。ぜんぜん、寒さなんて感じない。なんたって、ウェアの中は冒険心で熱くなっているんだから。
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